国運の分岐点

デービッド・アトキンソンさんの著書

停滞する日本経済、そして日本の生産性がなかなか向上しない理由をデービッドさんは

 『中小企業が多すぎることに原因がある』

と述べています。それも

 規模の小さい中小企業が多い

という。

私が以前勤めた役所でも生産性の向上が命題であり、内部業務の効率化が優先順位の上位にランクインしていました。PDCAを回すことで残業は減る一方、1人あたりの処理件数も対前年比105~120%にすることで功績賞も何度もいただきました。本を読みながらこの105~120%の幅がまさに役所の規模の大小に引きずられていたことに気づき、思わず膝を打ちました。

同じ事業計画を回してみても

  • 組織の規模が30人未満
  • 組織の規模が30~60人
  • 組織の規模が60人以上

だいたいこんな感じで生産性の伸びが違っていましたね。

PC周りですとかOA機器はどこも同じです。ところが、それ以外の繁忙期に必要な什器備品のレンタル品ともなると規模が大きい役所ならば予算もつけることが可能ですが、30人未満ですと予算が「もったいない」ということになってしまいます。結果、器用な職員が知恵を絞って手作りすることが多くなります。残業も減らない。組織の規模の違いによるジレンマを現場で感じていました。

1964年問題や人口減少・高齢化で「国益」が変わるといった分析はとても興味深かったですね。

行間から日本愛が感じられるデービッドさんだからこそ現実をつきつけたのだと思います。